ヨガの基礎知識
◆歴史と哲学◆
ある分野を学びたいときや深めたいとき、まずは「歴史」と「哲学」を知ることが大切です。
現代ヨガは、フィットネスとしてもたいへん優れたメソッドですが、古代インドから受け継がれた長い歴史をもち、自然信仰から発展した祈りや瞑想がルーツとなっています。
ヨガの歴史を紐解きながら、その時代背景や哲学思想を感じてみましょう。
普段受けるレッスンも、より充実したものになるはずです。
《インダス文明 ~神さまの瞑想?~》
ヨガの起源は確定することは難しく、最も古いものではインダス文明(紀元前2500年~1800年頃)にその一端があるとされています。モヘンジョ・ダロとハラッパーの遺跡から、瞑想の坐法をとっているように見える印章が見つかり、これをシヴァ神の原型ととらえヨガの起源と考える説があります。しかし、文献等は残っていないため、詳しいことはわかりません。
《ヴェーダ時代 ~ヨガの意味は繋ぐ~》
紀元前1500年頃、遊牧民であったアーリヤ人が移動して、先住民族を征服して独自の文化を築きました。彼らは、太陽・雨・雷・雲など、自然を神格化した信仰をもち、供物と讃歌を神々に捧げる祭祀を行いました。後のヒンドゥー教となるバラモン教の誕生です。この神々に捧げた讃歌や儀礼を記した聖典の総称が『ヴェーダ』です。
『ヴェーダ』は、リシと呼ばれる聖者達により神から受け取った天啓で、口伝のみで伝承されてきました。これを「マントラ」といいます。文字として記されたのは近代になってからです。
『リグ・ヴェーダ』(紀元前1200~1000年頃)には、多くの神々への讃歌が記され、この中に「Yoga」の動詞形の「Yuji(ユジュ)」といったサンスクリット語が使用されています。これは「結合する」や「くびきと繋ぐ」といった意味合いで、今日、ヨガの意味は「繋ぐ」といわれるルーツはここからきているのです。
《ウパニシャッド哲学 ~森羅万象すべてはひとつ~》
紀元前1000年~紀元前500年頃、祭祀が形式的になっていることを批判し、里を離れ森に住み、瞑想を行い真理の追究をする者たちが現れます。彼らが記した書の総称が『ウパニシャッド』であり、その思想はヴェーダーンタ(ヴェーダの終極)と呼ばれます。ヴェーダーンタ哲学の中心は、ブラフマンとアートマンの本質的一致、一元論である「梵我一如」。「森羅万象すべての本質は同じである」といった意味です。
- 【ブラフマン】
- 梵・宇宙原理。ブラフマンを音で表したものが聖音OMです。
- 【アートマン】
- 我・魂・個人原理。
そして、『カタ・ウパニシャッド』には、ヨガの説明が書かれています。
「ヨガとは、諸感覚が外側の事象に揺れぬよう、しっかりとアートマンに向けていくこと。」
外側や物質にばかり向いてしまう意識を、自分自身の本質に向け、内観を大切にすることがヨガであると説明されています。そして、内観される自己の本質は、森羅万象の本質と同じであることに気づくことをヴェーダーンタ哲学は説いています。
《叙事詩バガヴァッドギーター ~生き方としてのヨガ~》
『バガヴァッドギーター』は、世界三大叙事詩に数えられる『マハーバーラタ』から抜粋されたお話です。戦争で敵味方にわかれてしまった親族や師と戦うことができないと嘆く主人公アルジュナに、ヴィシュヌ神の化身であるクリシュナが王族として戦うことを諭す場面です。このクリシュナが語った言葉の中に、「カルマ・ヨガ」「バクティ・ヨガ」「ニャーナ・ヨガ」「ラージャ・ヨガ」が出てきます。現在でも、伝統的なヨガの種類として確立され実践されているものです。
- 【カルマ・ヨガ(行為のヨガ)】
- 報酬や名誉のために行うのではなく、与えられた環境において無私の心で行為するヨガ
- 【バクティ・ヨガ(信愛のヨガ)】
- ヴィシュヌ神やシヴァ神など、神へ献身・帰依し、深く信仰するヨガ
- 【ニャーナ・ヨガ(智慧のヨガ)】
- 知性と熟考から、森羅万象の真理を悟ろうとする哲学的なヨガ
- 【ラージャ・ヨガ(瞑想のヨガ)】
- 瞑想によって心を静め、悟りの境地を目指す精神性を重視したヨガ
ヨガは生き方そのもの。そして、同じ目的地に向かうとしても、自分の与えられている環境や志向において、いくつかの道があるということがわかります。 ちなみに、クリシュナはアルジュナに、神の化身である自分を信じ、王族としての役割を果たすこと、すなわちカルマ・ヨガとバクティ・ヨガを勧めたのです。
《ヨガ・スートラ編纂 ~ヨガの八支則~》
ヨガ学派の経典である『ヨガ・スートラ』は、パタンジャリによって西暦300年から500年頃に編纂されたと考えられている現代においてもっともメジャーなヨガの教典です。4章195節から成り、短い文章で格言のように綴られています。
1章2節に「ヨガとは、心のはたらきを静止するものである」というヨガの定義があります。
2章後半と3章前半では、ヨガの8支則が提示されます。ここではじめてアーサナが出てきます。ただし、ヨガ・スートラのアーサナは、現代ヨガの様々なポーズというよりも、安定した坐法としてのアーサナを指しています。
また、ヨガ学派はサーンキャ学派と深く関わり、世界はプルシャとプラクリティから成るという二元論を採用するサーンキャ哲学において説明されるため、すべてはブラフマンと表現するヴェーダーンタ哲学とはニュアンスが変わってきます。
- 【プルシャ】
- 精神原理・観るもの・永遠普遍
- 【プラクリティ】
- 物質原理・観られるもの・変化する
【ヨガの八支則】
- ヤマ:禁止されること
- アヒムサ(非暴力)
- サティヤ(誠実)
- アステーヤ(不盗)
- ブラフマチャリヤ(禁欲)
- アパリグラハ(無執着)
- ニヤマ:勧められること
- シャウチャ(清浄)
- サントーシャ(満足・感謝)
- タパス(努力・熱量)
- スヴァディヤーヤ(真理の探究)
- イーシュヴァラプラニダーナ(祈り)
- アーサナ:坐法、ポーズ
- プラーナヤーマ:呼吸法、エネルギーのコントロール
- プラティヤーハーラ:感覚のコントロール
- ダーラナー:一点集中
- ディヤーナ:瞑想
- サマーディ:三昧、悟り
ダーラナー・ディヤーナ・サマーディは一連の流れで「サンヤマ」と呼ばれます。
対象に集中し、集中が深まり「私と対象の境界」がうすれていくことが瞑想。自我がぼんやりする感じです。さらに、瞑想が深まると、対象そのものの完全なる理解が生まれます。
それに不随するものとして、超常の力が発現することもスートラには書かれています。
*超常の力(シッディ)の例
「象などの、力あるものにサンヤマを行うことで、その力を得ることができます(3-24)」「北極星にサンヤマを行うことで、星の運行を知ることができます(3-28)」
《ハタ・ヨガの誕生~身体を使って陰陽を統合する~》
現代、多くの人が実践しているヨガのほとんどは「ハタ・ヨガ」です。ハタは、「力」や「強さ」という意味で、身体的技術を重んじるヨガです。また、ハを太陽、タを月として、陰陽のエネルギーを統合するという解釈もあります。
ハタ・ヨガの系譜の最初は「アーディナータ(シヴァ神の別名)」です。シヴァ神がヨガの神といわれるのは、シヴァによってアーサナが伝えられたとされるからです。
シヴァ神から「マッチェンドラ(魚の王)」がヨガを伝えられたという伝説があり、13世紀頃にナータ派のゴーラクシャナータが、『ゴーラクシャ・シャタカ』を著して体系化しました。そして、16世紀頃にスヴァートマーラーマが現れ『ハタ・ヨーガ・プラディピカー』を著します。諸説が氾濫して道に迷う人を救うための「灯火」の意味をもつ、プラディピカーという名がつけられました。17世紀頃には、ゲーランダ師が弟子のチャンダ・カーパーリ王に教えるという形式で書かれた『ゲーランダ・サンヒター』が著され、ハタ・ヨガの具体的な技法がまとめられています。
『ゲーランダ・サンヒター』の7支則
- クリヤー:浄化法
- アーサナ:坐法・ポーズ
- ムドラー:アーサナ・クンバカ・バンダ・ダーラナーの組み合わせ
- プラティヤーハーラ:感覚のコントロール
- プラーナヤーマ:呼吸法、エネルギーのコントロール
- ディヤーナ:瞑想
- サマーディ:三昧、悟り
《近代における欧米への伝達~歓迎された東洋の神秘~》
近代、インドの指導者や伝達者によって、東洋の神秘思想として瞑想やヨガが世界に広がっていきます。その中でも大きな業績をもつヴィヴェーカーナンダについて紹介します。
ヴィヴェーカーナンダの師・ラーマクリシュナは、少年時代から生涯に渡る神秘体験(サマーディ)を得て、神を信仰する(バクティ)を純粋に説きました。ヒンドゥー教の神だけでなく、イスラム教、キリスト教の神へのバクティによる神秘体験を経て、あらゆる宗教の道は異なっていても同じ到達点に達するものであると説いたのです。ヴィヴェーカーナンダは、17歳から4年間、ラーマクリシュナの元で学び、師の死後、遊行の旅に出てインド各地を巡り、多くの民衆が疫病と飢餓に苦しむ姿を目の当たりにして、観念的な教えの前に、社会的な実践が必要であることを強く感じます。
シカゴ万博での万国宗教会議に出席が決まり、インドの貧困者の救済とラーマクリシュナの思想の伝道を目的に参加しました。アメリカへの旅の途中、日本にも立ち寄っており、仏教寺院でサンスクリット語のマントラを見て、インドの宗教が極東にまで伝わっていることに感銘を受けたといいます。1893年、万国宗教会議で行った講演は、ヴェーダの教えやヨガについてなどを演説し、非常に高い評価を受け、欧米での講演活動を行いました。インド帰国後は、病院・学校・出版など、社会奉仕活動を中心に活動し、39歳の若さで亡くなりました。
《現代ヨガ~誰もができる心身の健康法~》
20世紀に入り、欧米にもヨガが知られるようになり、現代のヨガの潮流が生まれ始めます。西洋医学を学んだスワミ・シヴァナンダは、シヴァナンダヨガの創始者で、南インドに生まれ、マレーシアで医師として働き、帰国後に出家して、医療行為とともにヨガの修行を行いました。身体を動かすヨガは、精神性を深めるヨガより劣るとみなされていた風潮を、自らの実践と教えにより変えていきました。
現代ヨガの父と呼ばれるティルマライ・クリシュナマチャリアは、ヨガ教師でアーユル・ヴェーダのヒーラーでもあり、現代において世界中で行われているハタ・ヨガを時代に合った形で確立した存在です。クリシュナマチャリア師の生徒には、ロシア人女優のインドラ・デヴィ(彼女はマリリン・モンローにヨガを教えたことでも有名)、あらゆる人がヨガの恩恵を受けられるようヨガマットやブロックやベルトなどのプロップスを開発し、身体を痛めないよう個々にあわせたアイアンガーヨガの創始者であるB.K.S.アイアンガー、アシュタンガヨガを流派として確立し広めたシュリ・K・パタビジョイスなどがいます。
《ヨガの国際化~ヨガで自己と自然の調和を~》
2014年、インド政府は「ヨーガ・アーユルヴェーダ・伝統医学担当省(AYUSH省)」を設立、2016年、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。また、夏至の6月21日は「国際ヨガの日」として国連総会で定められ、ヨガの国際化は、21世紀に入り、大きな飛躍をみせています。国連総会の演説で、インドのモディ首相は「ヨガは私たちの古代の伝統からのかけがえのない贈り物だ。心身の統合を具現化する。運動というだけでなく、あなた方自身と世界、自然の調和の感覚を発見させるものだ」と語りました。
いかがでしたでしょうか。とても長いヨガの歴史を、駆け足で解説しました。
AYJヨガスクールでは、レッスンでは伝えきれないヨガの知識や哲学をお伝えしています。
ご興味ある方は、学んでも学んでも深く底の見えないヨガの世界観を共有しませんか。
ヨガが教えてくれる、自己への気づき・自然との調和の感覚を大切にしていきましょう。
Animism Yoga Japan主宰 吉川里奈
AYJヨガスクール</a >◆YOGA関連・用語集◆
- アーカーシャ
- 虚空、空、空間概念、エーテル。五元素の「空」。
- アーサナ
- 坐法、体位法。アース(座る、休息する)という動詞から派生。
- アーシュラマ
- 四住期(学生期・家住期・林住期・遊行期)
- アーシュラム
- ヨガ道場、修行者の住居、僧院。
- アートマン
- 自己原理、真の自己、魂。「呼吸する」という動詞から派生した。
- アーナンダ
- 歓喜、幸福。瞑想が深まる中で心の奥底から湧いてくる至福の心理状態。
- アーユル・ヴェーダ
- インドの伝統医学。「アーユル」は生命「ヴェーダ」は知識。
- アーラニヤカ
- ヴェーダの森林書。祭式の神秘的な意味を解き明かすもの。
- アグニ
- 火。天空では輝く太陽、空中では稲妻の光、地上では祭祀の火。五元素「火」。
- アジュニャー・チャクラ
- 第6チャクラ。第3の眼、眉間の奥、松果体、背骨の再上端。
- アステーヤ
- 不盗。ヨガの8支則のヤマ(禁戒)の1つ。
- アタルヴァ・ヴェーダ
- 4ヴェーダの1つ。呪文集。「アーユル・ヴェーダ」の源。
- アドヴァイタ
- 不二一元論。ヴェーダーンタ・ダルシャナ(学派)の根本思想。
- アナハタ・チャクラ
- 第4チャクラ、ハートチャクラ。愛と調和のエネルギー。
- アナンタ
- 無辺、無限。ヴィシュヌの寝床となる大蛇。
- アパーナ
- 5つのプラーナの1つ。臍から足裏の間で機能。排泄の力。
- アパリグラハ
- 不貪。無執着。ヨガの8支則のヤマ(禁戒)の1つ。
- アハンカーラ
- 自我意識。プラクリティが転変したものの1つで心(チッタ)の要素。
- アヒンサー
- 不殺生、非暴力。ヨガの8支則のヤマ(禁戒)の1つ。
- イーシュヴァラ
- 自在神、最高神。汚れのない特別なプルシャ。
- イーシュヴァラプラニダーナ
- イーシュヴァラへの祈念、帰依。
- イダー
- 主要な3つのナーディのうち、月の気道。
- インドラ
- 『ヴェーダ』において武神・英雄神また雷神として記される。仏教では帝釈天。
- インドリヤ
- 身体器官。マナス(意)+5感覚器官+5行為器官。十一根。
- ヴァータ
- ①風、風神、気。プラーナの別名。ヴァーユと同義。
- ヴァーチ
- 言葉。ヴェーダの神々の1神で言葉の神格化。
- ヴァーユ
- 風、『リグ・ヴェーダ』では風神。5つのプラーナの1つ、5元素の風。
- ヴィヴェーカ・キャーティ
- 識別智。プルシャとプラクリティを識別する智恵。
- ヴィシュッダ・チャクラ
- 第5チャクラ。喉のチャクラ。自己表現やコミュニケーションのエネルギー。
- ヴィシュヌ
- ヒンドゥー教3大神の1神で「維持」を司る。ヴィシュヌ派の主神。
- ヴェーダ
- 知識。「知る」という動詞から派生。バラモン教の聖典の総称。
- ヴェーダーンタ
- ヴェーダの最後を意味し、「ウパニシャッド」の別名。
- ウダーナ
- 5つのプラーナの1つ。喉から頭頂にかけてはたらき、上方に押し上げる力。
- ウッジャイ・プラーナヤーマ
- 勝利の呼吸。気道をせばめて微かな音をたてる呼吸。
- ウディヤナ・バンダ
- 飛翔のバンダ。腹部を引き上げ締め付ける。
- ウパニシャッド
- ヴェーダ文献の最後の部分。奥義書。200以上あり成立時期も異なる。
- オーム
- 聖音(プラナヴァ)。ブラフマンやイーシュヴァラを表す。
- カタ・ウパニシャッド
- ヨガを心の制御として説いた内容が記されたウパニシャッド。
- ガーヤトリー
- 最も神聖で美しいとされる詩の形式。その神格化した女神。
- カイヴァリヤ
- 単独、独立。ヨガ・スートラではプルシャの独存、解脱を意味する。
- ガネーシャ
- 人間の体に象の顔を持つ。災難を除き、幸福と繁栄をもたらしてくれる神。
- カパ
- アーユル・ヴェーダのトリ・ドーシャの1つで、結合や包括のはたらきをする。
- カーパラバーティ
- 頭蓋骨を輝かせるという意味。強く息を吐きだす呼吸法。
- カルマ・ヨガ
- 行為によるヨガ。結果を期待せず、無私・無執着で行為する。
- 完全呼吸
- 肺全体を使う、腹部・胸部・鎖骨部全体を使った呼吸法。
- キールタン
- 神々やグルの名前を楽器などに合わせて繰り返し歌う讃美歌。
- 胸式呼吸
- 肋間筋を使った肺の中部を使った呼吸法。
- クシャナ
- 刹那、一瞬、瞬間。時間の単位の最小。
- グナ
- 特性、性質。
- グル
- 師。尊者。無知の闇を払う者といわれ、悟り・解脱に導く存在。
- クレーシャ
- 煩悩、苦悩、心痛。貪(貪り)・瞋(怒り)・痴(愚か)の三毒。
- クンダリニー
- 螺旋状のもの、蛇の意味のクンダラの女性系。潜在的なエネルギー。
- クンバカ
- 壺いっぱいに水を満たすように、身体にプラーナを満たすこと。保息。
- サーダナ
- 修行、実践、達成。
- サードゥ
- 徳のある高貴な人。真っすぐで正しい人。修行者、出家者、遊行者。
- サーマ・ヴェーダ
- 4ヴェーダの1つ。サーマンは旋律。リグ・ヴェーダの讃歌に旋律をつけたもの。
- サーンキャ・ダルシャナ
- シャッド・ダルシャナ(六派哲学)の1つ。開祖はカピラ。
- サットヴァ
- トリ・グナの1つ。純質。明るさ、軽やかさ、快さ。
- サット・チット・アーナンダ
- ブラフマンの表現。サットは実在、チットは心、アーナンダは歓喜。
- サティヤ
- 真実、誠実。ヨガの8支則のヤマ(禁戒)の1つ。
- サハスラーラ・チャクラ
- 第7チャクラ、頭頂のチャクラ。霊的なものを超えた領域。宇宙意識。
- サマーディ
- 三昧。深い瞑想の状態。主観的な心により歪められず対象をありのままに見ることができる。集中した対象のみが輝き、主観は消えている。
- サマーナ
- 5つのプラーナの1つ。臍から心臓にかけてはたらく。消化し分配する力。
- サラスヴァティー
- ブラフマーの妃。学問・音楽・芸術の女神。ヴェーダ時代は河の神。
- サンカルパ
- 意思、決心、願望、誓願。
- サンサーラ
- 輪廻、流転、現世。カルマによって生まれ変わりを繰り返すこと。
- サンスカーラ
- 潜在意識、潜在印象、残存印象。
- サントーシャ
- 知足、満足心。ヨガの8支則のニヤマ(勧戒)の1つ。
- サンニャーシン
- 遊行者。世を捨てて遊行の生活に入ること。
- サンヤマ
- ヨガの8支則のダーラナー・ディヤーナ・サマーディの一連の流れのこと。
- シータリー
- 身体を冷やす呼吸法。舌をまるめて息を吸い鼻から吐く。
- シートゥカリー
- 舌を口蓋にあて、シューと音をたて口から吸い、鼻から吐く呼吸法。
- シヴァ
- ヒンドゥー教3大神の1神で「破壊」を司る。シヴァ派の主神。
- シッディ
- 超能力、超自然力。ヴィブーティと同義。
- ジャーランダラ・バンダ
- 喉の締め付けをするバンダ。
- シャンティ
- 安らぎ、平和、静寂。心の安らいだ静かな心境のこと。ヨガの目指す境地。
- シャウチャ
- 清浄。ヨガの8支則のニヤマ(勧戒)の1つ。
- シャット・カルマ
- 6種類の浄化法。ハタ・ヨガの技法。
- シャッド・ダルシャナ
- ヴェーダの権威を認めるインドの正統派六派哲学。
- ジャパ・ヨーガ
- マントラを繰り返し唱えるヨガ。
- スヴァディシュターナ・チャクラ
- 第2チャクラ。創造のチャクラ。丹田(下腹部)の位置。
- スヴァディヤーヤ
- 聖典の学習、自己探求。ヨガの8支則のニヤマ(勧戒)の1つ。
- スートラ
- 糸、縦糸、紐。基本的な教え。
- スーリヤ
- 太陽、太陽神。空に輝く天体としての太陽の神格化。
- スーリヤ・ナマスカーラ
- 太陽礼拝。連続したアーサナで構成される礼拝。
- スシュムナー
- 身体の中心を貫くエネルギーライン。プラーナの経路の最も主要なもの。
- ソーハム
- 「わたしはそれ(ブラフマン)である」という意味。
- ダーラナー
- 一点集中、凝念。ヨガの8支則の内的部門の開始段階。
- タットヴァ
- 真理、実在。
- タパス
- 熱、火。熱意、修行、苦行、抑制、敬虔。ヨガの8支則のニヤマ(勧戒)の1つ。
- タマス
- トリ・グナの1つ。鈍質。暗さ、重さ、覆い隠す。
- ダルマ
- 社会的秩序、法、宗教、法則、正義、義務。
- タンマートラ
- 5つの微細元素、パンチャ・タンマートラ。五唯。色・声・香・味・触。
- チッタ
- 心、心理器官。精神。ブッディ・アハンカーラ・マナスなど心的なものの総称。
- チャクラ
- 輪、車輪、円盤。スシュムナーに位置するエネルギーセンター。
- チャンドラ
- 月、月神、月の輝きの神格化。神酒ソーマと同一視される。
- チャンドラ・ナマスカーラ
- 月礼拝。アーサナやマントラも指導者により異なる。
- ディヤーナ
- 瞑想、静慮、禅那。ヨガの8支則の内的部門の中間段階。
- デーヴァ
- 神、天。神的なもの。輝くという動詞から派生した「輝く者」という意味。
- トラータカ
- シャット・カルマの1つ。一点を凝視すること。
- トリ・グナ
- 3つのグナ。サットヴァ・ラジャス・タマス。
- ドリシュティ
- 視点、凝視、見ること。
- トリ・ドーシャ
- アーユル・ヴェーダの3つの体質。ヴァータ・ピッタ・カパ。
- ナーディ
- 気道。プラーナの通り道。
- ナーディ・ショーダナ・プラーナヤーマ
- 片鼻呼吸。
- ナウリ
- シャット・カルマの1つ。腹直筋を左右に動かす。
- ナタラージャ
- 舞踏の王、踊るシヴァ神。
- ニドラー
- 眠り。『ヨガ・スートラ』の5つの心のはたらきの1つ。
- ニャーナ・ヨガ
- 智恵のヨガ。ウパニシャッドを重視する。
- ニルヴァーナ
- 涅槃。入滅、悟りの境地。解脱と同義あるいは解脱した人の境地。
- ニローダ
- 静止、止滅、制御。
- ネーティ
- シャット・カルマの1つ。紐や水を使った鼻孔の浄化。
- パールヴァティー
- シヴァの妃。ヒマーラヤの娘。
- バガヴァット・ギーター
- 「神の詩」。マハーバーラタの一部。
- バクティ・ヨガ
- 信愛、献身、帰依、信仰のヨガ。信仰する神への献身によって解脱を目指すヨガ。
- バスティ
- シャット・カルマの1つ。浣腸、腸の洗浄。
- ハタ・ヨガ
- ハタは「力・努力」。身体生理的なヨガ。
- パドマ
- 蓮の花。
- ハヌマーン
- 「ラーマーヤナ」で活躍する猿の勇士。風神と天女の子。孫悟空のモデル。
- バンダ
- 締める、封をする、閉じる。ムドラーの1つでエネルギーを高めるために行う。
- バンダ・トラヤ
- 喉(ジャーランダラ)・腹部(ウディヤナ)・会陰部(ムーラ)、3点のバンダのこと。
- パンチャ・コーシャ
- 5つの鞘、5層の身体。
- パンチャ・ブータ
- 五大。5つの元素。地・水・火・風・空。
- パンチャ・プラーナ
- 五気。5つのプラーナ。アパーナ、サマーナ、プラーナ、ウダーナ、ヴィヤーナ。
- ピッタ
- アーユル・ヴェーダのトリ・ドーシャの1つで、「火」や「熱」に関するはたらきをする。
- ピンガラー
- 主要な3つのナーディのうち、太陽の気道。
- プーラカ
- 息を吸うこと。
- ブッディ
- 知性、覚。プラクリティが最初に転変したもの。
- プラーナ
- 生気、息、呼吸、生命、風。
- プラーナヤーマ
- 調気法、呼吸法。アーヤーマは停止、伸ばす、拡散を意味する。
- ブラフマリ
- 蜂の呼吸。蜂の羽音をさせる呼吸法。
- プラクリティ
- 根本原質。サーンキャ哲学の二元論における原理の1つ。
- プラニャー
- 般若、智恵、直観智。
- プラティヤーハーラ
- 制感。感覚器官のコントロール。ヨガの8支則の5番目。
- プラナヴァ
- 聖音。原初の音。オーム。
- ブラフマー
- ヒンドゥー教3大神の1神で「創造」を司る。ブラフマンの神格化。
- ブラフマチャリヤ
-
- 禁欲、性的な行為を絶つ。ヨガの8支則のヤマ(禁戒)の1つ。
- ②学生期。四住期の最初の段階。
- ブラフマン
- 梵。宇宙原理、最高原理。元は言葉の背後にある神秘的な力のこと。
- プリティヴィー
- 大地の女神。地母神。五元素の大地。
- プルシャ
- 真我、神我、精神原理、純粋意識、真の自己、アートマン。
- 腹式呼吸
- 横隔膜を使った、肺の下部の呼吸。
- 梵我一如
- ブラフマンとアートマンの本質的一致を説く思想。
- マーラー
- 花輪、花冠。数珠。
- マイトリー
- 慈しみ、友情、親交。
- マウナ
- 沈黙の行。
- マナス
- 意。意思、思考、感情などの心のはたらき。
- マニプーラ・チャクラ
- 第3チャクラ。太陽神経叢のチャクラ。活動や喜びを司る。
- マハー・ブラタ
- 大誓戒。ヨガの8支則のヤマをどんな状況にあっても守ること。
- マントラ
- ヴェーダの讃歌を唱えること。真言、祈り。
- ムーラダーラ・チャクラ
- 第1チャクラ。基底のチャクラ。生命力や土台となるエネルギー。
- ムーラ・バンダ
- 基底のバンダ。会陰部または肛門を引き上げる。
- ムドラー
- 印、象徴。身体をつかった意味の表現。ハタ・ヨガやタントラの独自の行法。
- モークシャ
- 解脱、悟り。輪廻からの解放。安らかな境地。
- ユジ
- ヨガの語源となる動詞。「馬にくびきをつける」「馬と馬車を繋ぐ」という意味から、結ぶ、繋ぐ、結合するなど。
- ヨガ・スートラ
- 4章から成り、解脱への道を示すヨーガ・ダルシャナの教典。
- ヨガ・ニドラー
- 意識をともなった眠りの状態へ導き、サンカルパ(誓願)を潜在意識に呼びかける。
- ラージャ・ヨガ
- 瞑想のヨガ。王道のヨガ。『ヨガ・スートラ』に沿ったヨガ。
- ラーマーヤナ
- 英雄ラーマ(ヴィシュヌの化身)の物語。インドの二大叙事詩。
- ラクシュミー
- 富と幸運と美と繁栄の女神。吉祥天。ヴィシュヌの妃。
- ラジャス
- トリ・グナの1つ。激質、動質。活動的、落ち着きのなさ、不安。
- リグ・ヴェーダ
- 4ヴェーダの1つ。神々を讃える讃歌が中心。
- リシ
- 聖仙、聖者。修行により高い精神性に至った人。
- ルドラ
- 暴風雨神。シヴァ神。
- ルドラクシャ・マーラー
- シヴァ派が使用する菩提樹の実の数珠。ルドラの眼の意味。
- レーチャカ
- 息を吐くこと。